國弘氏「英語の話しかた」より音読の効用など

さて、同時通訳の神様として知られている國弘正雄氏が書かれた「英語の話しかた」という有名な本があります。話すことを目的とした英語学習法の決定版と言える本です。

使える英語のプロ中のプロである國弘氏は、この本の中で「只管朗読(しかんろうどく)」と「只管筆写(しかんひっしゃ)」という学習法を提唱されています。一通り意味が分かる英文について「音読」と「筆写」をひたすら繰り返すという方法です。その効用や方法については、同氏監修の「英会話・ぜったい音読」シリーズの冒頭にも簡潔に書かれています。

英会話サイモンズのレッスンは、マンツーマン英会話と個別練習で成り立っていますが、個別練習の時間では、(1)音読、(2)例文暗唱、(3)発音練習、(4)筆写に取り組んでいます。どれも英語の基礎力を養うには欠かせない練習です。私たちは、一生続ける価値のある、これらの正しい英語学習法を子どものうちに身につけるべきだと考えています。そして、それは十分に可能なことです。

けれども、小中高生向けの英会話教室でこれらに取り組んでいるところはほとんどありません。理由は次の3つです。

1)特に子ども向けの英語教育については、基礎練習の大切さを訴えるよりも、「自然に身につく」という幻想を抱かせる方がビジネス的に成功しやすい。

2)コストの観点からほとんどの教室が採用しているグループレッスンでは、物理的に一人ひとりの練習を細かくサポートすることができない。

3)入試や英検における合格実績がいい宣伝材料となる現状では、基礎力を養う本格的な練習よりも、手っ取り早く合格させる指導法が優先されがちになる。

私たちは「自然に英語が身につきます」というような詐欺的なことは言わないポリシーを持っています。必要な練習を取り入れるためにグループレッスンという常識も捨てました。さらに単なるペーパーテスト対策という安易な英語指導は子どもたちのためにならないと肝に銘じています。そして、マンツーマン英会話&個別指導という指導システムを採用することにしたのです。

数日前に國弘氏の「英語の話しかた」をパラパラと読み直していると、次のような一節がありました。

問題は、スポーツには練習施設や練習プログラムが用意されているが、外国語の場合、とくに学校教育では、それがほとんど整備されていないことです。訓練コースを持たぬ自動車教習所のようなものです。もちろん、それには一クラスの人数の多さなど、制度上の問題もからんでいます。つまり、現状では解説しかできないのです。
 関係者がそういう事情を進んで公にすることはありません。しかし、本能的に気づく生徒もいるのです。気づいた生徒は自分で練習プログラムを作り、学校以外にトレーニングの場を求めていきます。只管朗読という一人で出来る練習にせっせと励み、さらには、進駐軍の兵士を求めて神戸の町を歩いた学生時代の私がまさにそうでした。

この文章を目にして私は嬉しくなりました。いささか我田引水的な読み方かもしれませんが、私たち英会話サイモンズの方向性に自信を持つことができたからです。

ほとんどの子どもたちは、中学時代の國弘氏のように自分で練習プログラムを作ることはできません。だからこそ、英会話サイモンズでは一人ひとりが英語を練習できる環境を作り、それを丁寧にサポートしようと考えたのです。

また、國弘少年のように自らネイティブスピーカーを求めて町を歩くことも難しいでしょう。英会話サイモンズであれば、毎週1対1で外国人講師と英語で話すチャンスがあります。

國弘氏が言っておられるように、学校における英語教育には「制度上の問題」があります。「英語習得のためには何が必要か」という視点ではなく、集団一斉授業や入試という制度の都合により、英語教育の方法が決まってしまうという問題です。そして、私たちが経験から学んだことは、民間の英会話教室であっても、上記のビジネス的な理由のために「制度上の問題」は同じだということです。

その結果として、英語をきちんと練習する環境も、実際にネイティブスピーカーと英語で話す機会も、どちらも英語を使えるようになるには不可欠であるにもかかわらず、世の中にはそれらを提供しているところが見当たらないのです。私たちが英会話サイモンズをつくった理由はこの点にあります。

マンツーマン英会話&個別指導という、子ども向け英会話教室としては認知されにくいコンセプトである故の苦労もあるのですが、上の一節のおかげで自分たちの方向性が間違っていないことを確認できました。

「英語の話しかた」をまた読み直しているところです。ブログでも再びこの本について触れることがあると思います。