基本英文の暗唱について(その2)

今回は基本英文の暗唱について、少し詳しくご説明しようと思います。実際にレッスンで使っている英文も取り上げますので、お子さまと一緒に試されてはいかがでしょうか。

基本英文暗唱の効用

さて、基本英文の暗唱は上達を実感しやすいトレーニングです。もちろん、20や30の英文では足りませんが、たとえばサッと言える基本英文を新しく300くらい身につけたとすれば、「英語が上手くなってきた!」という感じられるでしょう。まず、自信をもって英語で話せる場面が確実に増えます。英語を話す力は、サッと口に出せる表現を増やすこと、それをアレンジするコツを学ぶことだからです。「自然に身につく」に期待したり、「テストで点が取れるから十分」と考えていては、いつまでも英語を話す力は身につきません。

そして、基本英文の暗唱の効果はこれだけではありません。練習すればするほど、口がスムーズに安定して動くようになり、自分の声を記憶しやすくなります。「声に出して練習することは語学の基本中のキホン」と言われるのは、それにより英語が身につきやすい状態になるからです。英語力は、英語をスムーズに声に出す力、ひいては声に出して練習した量に比例するといっても過言ではありません。

ですから、基本英文の暗唱は英語の成績アップにも効果があります。英会話サイモンズでは学校のテスト対策は特にやっていませんが、それでも多くの生徒が英語の成績を伸ばしています。例えば、入会時には平均点前後の成績だった中学生が、今では学年でトップクラスの結果を出すようになりました。その生徒が言うには「以前は、テスト範囲の教科書本文やプリントを全部覚えるという発想はなかったけれども、今は声に出してほとんど覚えてしまうことができる。そうやってテスト勉強をすると、簡単にできる問題がたくさんある。」とのことです。もちろん、いわゆる丸覚えでテストに臨んでいるのではありません。基本英文の暗唱によって英文法の理解が深まったことも成績アップに役立っているはずです。

このように良いことずくめの基本英文の暗唱なのですが、具体的にイメージできない方もおられるでしょう。前回の記事でも書きましたが、中高生のときに基本英文の暗唱にきちんと取り組んだことのある大人はそう多くないからです。そこで実際にレッスンで使っている基本英文を取り上げながら、英会話サイモンズで行っている基本英文の暗唱トレーニングをご紹介します。

目標(合格の基準)

  • まず、英会話サイモンズでの基本英文暗唱のルールは単純で、「12の英文を日本語だけを見て60秒以内に正しく言えたら合格!」というものです。
  • ただし早口で雑なのはダメです。思い出すまでの時間を早く、できるだけ途切れずにスムーズに言うことを理想として練習します。
  • 発音や細部の正確さをどこまで求めるかは、子どものレベルや性格を考えて判断しています。

練習および指導のポイント

まず最初は読み合わせをします。英語が読めない生徒はもちろん、読める生徒でも発音の確認は必要です。日本語・英語が併記されているプリントを見ながら練習しますが、英語の文字を読めるようにすることが目的ではありません。またカタカナを書き込むことも極力避けます。「文字を音にする」トレーニングではなく、「意味を音にする」トレーニングとして取り組むことが大切です。「私は~が好きだ」という意味は「アイ・ライク・~」(便宜上カタカナで書きます)という音で表すことを覚えるのです。言葉というものは「意味・音・文字」のうち、まずは「意味」と「音」の結びつき学ぶべきです。日本語の自然な習得過程を考えてもお分かりいただけるでしょう。

子どもたちの暗唱を指導していると、「この子は音ではなく、プリントに書かれていた文字列を視覚的に思い出そうとしているな」と感じることがあります。英語を声に出す力が足りないのに、フォニックスなど英語の読み方の知識だけを中途半端に持っている子どもに見られる傾向です。フォニックスの知識が無駄なわけではないのですが、文字で思い出そうとする癖がつくことはよくないので、場合によっては英語が書かれていないプリントの方で練習をさせることもあります。ペーパーテストを意識するあまり文字に偏った英語学習を進めることは、結局は非効率なので英語力が伸び悩む原因になります。

そして、「英語を音で覚える力」を伸ばすための練習で一番大切なことは、とにかくその一つの文を「途切れずにサッと」言えるようになるまで練習することです。暗唱の計測をする時に少しつっかえたからといって不合格にはしませんが、少なくとも練習の段階では「詰まらずにサッと」言えるまで反復しておく必要があります。というよりも、口の動きと音の連動を記憶するためには、「詰まらずにサッと」言える必要があります。たとえば電話番号を覚えるときに(最近はあまり必要ないですが)、何度かスムーズに口に出してみるのと同じです。練習をやっているように見えて、なかなか覚えられない子は、練習がこのレベルまで到達していないからです。

ということで、ひたすら練習あるのみ、練習量を稼ぐことが大切です。以前に保護者向けレターにも書いたことですが、覚えるのが早い子とゆっくりな子の差は、少なくとも3倍くらいはありそうですが、その差が生まれる一番の原因は「練習量の差」です。頭がいい子が3回で覚えることができ、ゆっくりな子は30回かかるとか、そういうことではありません。誰でも20回くらい反復すればたいていの英文は覚えられます。その必要回数に達するのが早いか遅いかの違いです。

ですから、指導のコツはどうやって子どもたちを練習に向かわせるかということになります。細かい指導ノウハウはいろいろあるのですが、私たちの基本方針は「自分で練習できる状態になるまで手伝う。あとは練習を見守る。そして自力で頑張っている姿勢を誉める。」ということです。12文が多いようであれば、まずは4文ずつに分けて練習できるように手伝います。そして、具体的な目標を設定した方がやる気になるようなら「まずはその4文だけを15秒で言えるようにしよう」と提案します。そして見守るのです。怠けているようなら励まし、根気強く自力で練習していれば誉めます。自力にこだわるのは、その姿勢が育たないと英語習得は難しくなりますし、ある程度自力でやってこそ達成感が得られるからです。

一般に勉強と言われていることの中には、ほとんど頭を使わずに機械的にできることも多くあります。その中で、何かを覚えて自分の頭からスムーズに取り出せるように反復練習するというのは、かなり根気強さがいることであり、そしてとても大切なことです。基本英文の暗唱を指導していると、他の科目にもかかわる学習姿勢の長所や短所がよく分かります。私たちは英語だけでなく、できればその子の学習姿勢そのものが良くなるようにサポートしたいと考えています。

基本英文の暗唱の例(小学生初心者用)

以下は、小学生が一番最初に取り組む基本英文のセットです。低学年の初心者でも通常はこれから始めます。

無料体験レッスンでこのプリントをお見せすると、「まだABCも習ってない子どもができるのですか?」とおっしゃる方もおられますが、どんな子どもでも必ずできます。まったくの初心者でも最初のレッスンで合格できることもありますし、英語を習った経験があってもなかなか時間がかかることもあります。ABCが基礎なのではありません。「わたしは青が好きです」は「アイ・ライク・ブルー(便宜上カタカナです)」という音で表すこと、「アイ・ドント・ライク」に変えると「わたしは~が好きではありません」という意味に変わることなどを理解して、それをサッと言えるように覚えてしまうことの方が語学として先に取り組むべき課題です。

なお、例のようにパターンがあるセットに関しては、そのパターンに気づかせることも大切です。ですから、まずは、「私は~が好き、私は~が好きではない、あなたは~が好きですか、何色があなたは好きですか」がそれぞれ、”I like, I don’t like, Do you like, What color do you like” となることを説明したうえで、この”I like, I don’t like, Do you like, What color do you like”の部分だけを「6秒で言えるまで練習しなさい」と指示しています。これができれば、8番までは簡単です。9番は難しいですが、11番は単語違いなので簡単になります。

01. 私は青が好きです。 01. I like blue.
02. 私は黄色が好きではありません。 02. I don’t like yellow.
03. あなたは緑が好きですか。 02. Do you like green?
04. 何色があなたは好きですか。 04. What color do you like?
05. 私はブドウが好きです。 05. I like grapes.
06. 私はバナナが好きではありません。 06. I don’t like bananas.
07. あなたはリンゴが好きですか。 07. Do you like apples?
08. どんな果物があなたは好きですか。 08. What fruit do you like?
09. あなたはネコとイヌではどちらが好きですか。 09. Which do you like better, cats or dogs?
10. 私はイヌの方が好きです。 10. I like dogs bettter.
11. あなたは音楽と体育ではどちらが好きですか。 11. Which do you like better, music or PE?
12. 私は体育の方が好きです。 12. I like PE better.

練習に使えるQuizlet版です。合成音声ですが発音も確認できます。

それからレッスンでは次のようなプリントを渡しています。
基本文暗唱 0-011 Likeの使い方(練習用)
基本文暗唱 0-011 Likeの使い方(本番用)

さて、以上は小学生初心者用ですが、近いうちに中学生用や高校生用の例も追加しておきます。

お読みいただきありがとうございました。